船橋卸売市場   斉藤健次

習志野台で料理店を開業して、もう23年にもなる。
 食材は毎朝、船橋の卸売市場で仕込んできた。市場に行けば欲しいものは何でも揃い、一度に買い出しすることができる。とくに海産物は種類が豊富でどれも活きがいい。
 氷詰めされた魚を、自分の目でたしかめ、手に触れて一本一本選別して買うことができる。スズキ、カレイ、イワシ、コハダ。船橋港に揚がったばかりの江戸前の魚介が店頭に並ぶと、なぜかワクワクして嬉しくなる。
 鮮魚店がひしめく場内をひと回りして、最後に立ち寄るのが、馴染みのマグロ仲卸店。白く凍ったマグロを電動ノコギリで、サク取りしてもらう。そのわきで私は、マグロの頭を解体する。脳天、ホホ肉、目玉、カマ。自分の欲しい部位をとらせてもらう。ひと仕事終えて、お茶を飲みながらマグロ談義。切り落したばかりのトロに醤油をたらして口に放り込む。こうして食べるマグロが実に美味い。
 卸売市場は素人さんお断りでプロ専用の世界だが、入り口の係員に名前を告げれば誰でも入場することができる。
 一般の人も卸値で買うことができ、品質保証でかなり安い。ただしプロの邪魔にならないように、決して魚をおろしてくれなどの注文はしないこと。
 地元、船橋の食文化を支えてきた卸売市場を、ぜひ一度訪ねてみて欲しい。買出し人の賑わいが一息ついた9時過ぎがいいだろう。
(2007年6月29日、東京新聞ショッパーより)
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