漁獲規制

1978年、僕の初航海は南アフリカのケープ沖から始まって、豪州オルバニー沖、タスマン海、ニュージランド沖へとミナミマグロを追い、1年余で満船帰港した。二航海目は、ニュージランドに漁がなく南大西洋のアルゼンチン沖まで出漁したが,それでもミナミマグロだけでは魚倉は埋まらず、西アフリカのアンゴラ沖でメバチマグロを釣った。この航海は2度の転載をしての操業となり1年8ヶ月。3航海目はさらに不漁続きで地球を3周。沖で正月を3回迎えなくてはならず、2年2ヶ月という大航海となってしまった。
ミナミマグロの資源不足から、漁獲規制、漁期制限が年々厳しくなっている。当時、日本、豪州、ニュージランドで漁獲割当量は合計3万8750トンあった。それが1987年に豪州政府が、ミナミマグロは絶滅の危機にあると言い出し、1万1750トンに削減。日本の割り当ては6065トンに減らされた。そして今年の10月、日本の漁獲枠は今後5年間6065トンからさらに半分の3000トンに削減されることになった。日本だけが過剰漁獲の責任を負わされ、豪州5265トンなど加盟国の漁獲量は現状維持。短期間で2倍近く魚体が増えるなど実態が不透明な豪州の蓄養マグロについては実態調査のデータ不足という理由で漁獲枠が据え置かれたのはいかがなものか。
日本のマグロ船は延縄で獲る。3000本の釣りにかかるマグロはせいぜい7~8本。1トンくれば大漁。豪州の蓄養マグロは巻き網で魚群を一網打尽に巻き上げてしまう。それもこれから成長する小マグロを。巻き上げた半分はドッグフードになる。日本のマグロ漁師はこういうマグロには決して手をつけなかった。回遊して戻ってくるまで待った。僕が乗っていた頃は、揚がってくるマグロはどれも脂がのって丸々と太っていた。だからキロ3800円、いいマグロには5000円と高い値がついた。
今年の夏、知り合いのマグロ船が1年2ヶ月の航海を終えて清水港に帰港した。キハダがキロ400円、バチ800円、ミナミマグロが1600円の安値で水揚げ高は3億6000万円。1ヶ月遅れて帰港した船は、キハダ700円、バチ900円、ミナミマグロ2700円の値がついた。
現在、ケープ沖の解禁は5月から8月まで。操業できる日本のマグロ船は170隻で、3500トンの割り当て量に達した時点で操業が打ち切られる。それが来年からは半減に。それまでして、暴風圏の漁場へ出漁して採算はとれるのか。次の航海、船を出せれるのか心配だと船長は力なくいった。
 (2006年 12月26日)
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