土佐の一本釣り

厳しかった猛暑の夏もやっと終わり、秋の訪れとともに魚市場には銀色に光り輝く新サンマが所狭しと並んでいる。これから冬にかけて魚がいちばん美味しくなる季節であり、とくに全身脂がのった戻りカツオは魚好きにはこたえられない季節でもある。
そのカツオの中でも、近海の漁場で一本一本漁師の手で釣り上げた、一本釣りのカツオは
高級ブランドとして市場で高値で取引されている。
カツオの一本釣りといえば、青柳裕介さんの「土佐の一本釣り」を思い起こす人が多いと思うが、その土佐の一本釣り漁船の漁師さんが、先日飲みに来られた。
高知県黒潮町、栄吉丸の通信長、石丸満さん。「吼える40度線」の制作をお願いしたカメラマンの黒田輝彦さんと一緒に、マグロ料理を前に生ビールをおいしそうに飲みながら、カツオ漁の厳しさを話してくれた。
カツオもマグロ同様に一網打尽に巻き上げて根こそぎカツオを捕獲する巻き網船による資源乱獲のため、近海カツオ一本釣りの漁船は年々隻数を減らし、現在稼働しているのは61隻。これは20年前の143隻と比べると半数以上に激減している。
しかし、水産省はじめ各業界機関は問題なしと何も手を打ってこない、と石丸さん。一本釣り漁船が年間5万トンをメドに自主的な漁獲規制をしているというのにだ。
栄吉丸(119トン)は春に黒潮町の母港を出港すると、小笠原近海から沖縄、大東島にかけて初ガツオを追い、初夏に近づくと房総沖から三陸沖へと北上。今は北緯40度、東経150度付近の海域で操業し、気仙沼港に水揚げのために寄港する。
先日、石丸さんからカツオを送ったと電話が入り、翌日氷がびっしり詰まった発泡スチロールに太ったカツオが2本。すぐにサクどりして刺身、たたき、兜焼き、アラ煮など余すところなく常連たちと土佐の地酒で一本釣りカツオを堪能した。
石丸さん、ご馳走さまでした。みんなで栄吉丸の大漁と航海安全をお祈りしています。
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