嗚呼 中華そば

 近頃、やたらと子供のころに食べたラーメンが食べたくなるのである。インスタントラーメンは、昭和33年に発売した日清のチキンラーメンが始まりとなっているが、まだインスタントラーメンがなかった昭和20年代の子供のとき、母親がおやつがわりに作ってくれたラーメンの味が今も懐かしく思い出す。どんぶりに醤油と刻んだ長ネギ、チューブのラードをしぼり、味の素(当時は贅沢品だった)を耳かき1杯ほど入れて、グラグラ沸騰した熱湯をかけてスープを作る。麺はカンスイたっぷりの真黄色のちじれた細麺。具はホウレンソウと海苔ぐらいだったが、子供にとっては最高なご馳走だった。
 当時はまだラーメン屋はなく、夜遅く腹がすいたころにチャルメラを吹きながら、よく夜鳴きそばがやってきた。走って呼び止め、その場でラーメンを作ってもらう。ホント、うまかったなァ。
 で、そのラーメンがいま無性に食べたくなって、自分で作ってみた。スープは鶏ガラと長ネギやきゃべつなどの野菜屑だけ。アクをていねいにとりながら弱火でコトコト5時間余り。スープは透明で、表面を黄金色に光り輝く鶏の脂がおおう。何ともたまらない鶏ガラのいいニオイ。これこれ。
 ナルト、メンマ,チャーシュー、ホウレン草、それに海苔が中華そばの定番の具。そして大事なのはそれを入れるドンブリだが、ちょっと小ぶりで龍をあしらった丁度いいラーメンドンブリが店にあった。
 近年、パフォーマンスで客を呼ぶラーメン店が増えるなか、こういうシンプルなラーメンの基本の味をもっと多くの人に知ってもらいたいと思うこの頃である。
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