ソーメン流し

マグロ漁船の一日は深夜2時ごろから始まる。枝縄の釣りにイカやアジやサバなどのエサをつけて延縄を仕掛ける投縄。この作業は船長、甲板長、一等航海士をリーダーに3班に分かれ各班5名編成。3日に一度この枝縄の番が回ってくる。150kmの幹縄に3000本の枝縄を仕掛けるのに5時間。縄は一たん船から切り離して漂泊。マグロが掛かるのを待つ間に食事。投縄を始める前に食べるのが朝食で、これが昼食になりおかずは毎日マグロの刺身と決まっている。
 午後12時ごろ、スタンバイのベルが船内に響き渡る。
縄の切れ端に船が近づいていき、揚げ縄開始。順調に縄が上がって12時間。その間、夕食と夜食がはいり、操業中は食事が4回。
投縄から揚げ縄終了まで24時間で一回が理想だが、縄が切れたりすると何時間でも探さなくてはならないので徹夜になり、揚げ縄が終わったら休む間もなくすぐその場で投縄が始まる。これを「連チャン」といっているが、私は1ヶ月半休みなく連チャンの経験がある。
 連チャンやったからと漁があるかというと、マグロ2~3本ということもある。
釣れないのになぜ連チャンやるかというと、その場の確保。何月の何日頃に、この水温でマグロが来るという海域を各船の漁労長は知っているから、漁期になるとマグロ漁船が集中する。いい場所の取り合いで各船マグロの群れをじっと待ち構える。
たて込んだ漁場で勝手に縄を入れあえばもつれる。だから、日本船は投縄と揚げ縄の時間を決めて、いっせいに操業する。ソーメンのように縄を平行してやるところからこれを「ソーメン流し」という。
 同じ海域、同じ漁具、同じエサをつけても、釣る船とダメな船との差が出てくる。釣ってる船はすぐわかる。マグロを解体したハラワタを狙う海鳥が船について群れている。
人工衛星を使ったハイテク計器が並ぶマグロ漁船の操舵室。でも、マグロを釣るのは漁労長の腕と勘にかかってる。
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